秋深まり セイタカアワダチソウに 虫達集う
産卵あるいは越冬を目前にした虫たちにとって、晩秋のこの時期、蜜や花粉を摂取できる花は大変貴重なもの。島熊山で林縁沿いに点々と咲くセイタカアワダチソウには、天気の良い日、早朝からハチやアブ、チョウやハエたちが押すな押すなと寄り集まってとても賑やかだ。夏の日の木陰、樹液湧く森のレストランに押し寄せたカナブンやスズメバチの荒くれ集団とは少し客層が違うけど、みんな体力をつけようと一生懸命なのだ。(
写真:左上は飛び立つ寸前のベニシジミその下が黒かみ人面顔のオオホシカメムシその右にニホンミツバチ 四角の中が、実際は花の向こう側にいる毛深いキンケハラナガツチバチ♀)
10 月
- 12日:▼林縁のササの葉上で、ヤマトシジミ新鮮♂、羽いっぱいに広げて日光浴。光を反射して水色が爽やか。
▼ジョロウグモ♀産卵間近。腹部膨らんで、紅の紋様一層鮮やか。巣の上方には♂一頭、怖々と控える。
▼林縁に沿い点々と咲いたアワダチソウの花房に、蜜と花粉求めて虫たち大集合。日頃遇えないハラナガツチバチ二種とニホンミツバチ、オオホシカメムシやホシミスジも、みなてんやわんやの慌ただしさ。
▼ヤマジソ、淡い桃色に咲いている。良い香り漂う。
▼ヒヨドリバナ、モシャモシャと頼りなげに咲いている。
▼クズの葉の上で、ミミズク(虫の名)に初めて出会う。大きな耳状突起と、シンバルのような広く平らな顔が、鳥のミミズクというよりはカバのよう。
▼コバノガマズミ、真っ赤な実が鮮やか。
▼ツユムシ♀、目を赤く染めてチガヤの葉上に静止。
- 18日:▼小径沿いに、ナツハゼの実、黒く甘く熟している。
- 21日:▼ササ藪で、チャッ、チャッとウグイス盛んに地鳴き。
▼モンキアゲハ、足下から突然ハタハタと力強く飛び立つ。一瞬、鳥が飛んだかのよう。久々に出会う。
▼小枝いっぱいに、マユミ淡く桃に色づいて、全身を柔らかく飾っている。近くではゴンズイ、赤く裂開して、中に黒光りする種子二つがキラリと自己主張。
11 月
- 3日:▼ヌルデ、ヤマウルシの黄紅葉、林間に一際鮮やか。
▼澄んだ青空を背に、クロガネモチの実は赤く輝く。
▼少年文化館奥で、甘渋くアキグミ熟れている。シャシャンボの実も成熟。食べると微かに甘い。
- 5日:▼一輪のアキノキリンソウで、ヒメヒラタアブ吸蜜。
▼山中で、ヒッ、ヒーッと、ジョウビタキらしき声。
▼秋色迫る小草原でまだ明るい内、マツムシ数頭が鳴き始め。ハラオカメ(SP)も弱々しく鳴いている。
- 15日:▼林床に、ヤブコウジの赤い実一つ二つと輝く。可憐。
▼枝一面、真っ赤な実で飾り、ウメモドキ鳥の訪れ待つ。
▼実生で育った林縁のセンダン、生後初めての結実。
▼ハマヒサカキ咲いている。辺りに特有の香り流れる。
▼晩秋の草原をウスバキトンボ三頭、寂しく周回(土田)
一枚のササの葉にみた 四種の虫たちの昔と今
これは一体…?鉄兜の下に下唇をムッツと突き出したおじさんが難しい顔でこちらを睨んでいるような、倒立したハラビロヘリカメムシの背中。その右下には、これもなぜか逆立ちして羽化したセミの抜け殻が跳ねる。右触角の先には、かつてそこで小虫を捕らえたであろうクモの破れ巣が白く風になびく。向こう側、葉表にはアブラムシの脱出跡が黒い影となり点々と映る。一枚のネザサの葉に物語られる虫たちの過ぎた昔と今に、思わず想いを馳せる。
8 月
- 17日:▼空を茜色に染めて、夕陽、五月山の彼方に沈む。
▼オープンランド上空に、ツバメ六〜八羽、風を切って滑り舞う。コウモリもどこからともなくやってきて、夕焼けを背に一〇数頭が黒い影となり乱舞。
▼行く夏を惜しんで、ツクツクボウシ、アブラゼミ競演。遠くヒグラシも乾いた声で啼いている。
▼まだ明るさの残る草原で、マツムシ、この日の鳴き始め。チン、チキと短音をつま弾くだけだった出だしも程なく修正。生まれながら持つ曲を歌い出す。
▼タカサゴユリ、あちこちで咲く。暑さ残る黄昏の大気に、花の香、ほろ甘く漂い流れる。
- 23日:▼小草原でキチョウ、数少ないミヤコグサ捜して吸蜜。
▼青空高くうろこ雲走り、秋の気配訪れる。
▼草光る小草原を、ウスバキトンボ二〇頭、キラキラと羽根光らせながらゆったりと群れ飛ぶ。
▼シジュウカラ二羽、アキニレの小木に滑り込むや、葉裏から緑鮮やかなイモムシ捕らえ、一呑み。
▼林縁のイヌビワ黒く熟す。食べると甘い(土田泰)。葉茂る中に潜り込み、鳥(SP)もせっせと食べてい る。
▼ボントクタデ、桃紅色鮮やか。頭を垂れて咲いてい る。
▼ニイニイと枝から枝へ、ヤマガラ一羽、久し振り。
▼コナラの木の下は足の踏み場に困るほど、ハイイロチョッキリの切り落とした小枝・葉付きドングリが散乱。どのドングリにも、特有の産卵痕くっきり。
▼コナラの葉をまとい、オオミノガ幼虫モゾモゾと移 動。
▼シロオビアワフキ、クズの葉上で暑さしのぎの一服。
▼コミスジ交尾。近くではホシミスジ悠々と飛翔。
▼ヌルデの小枝に、ミミフシ、プクリとでき始め。
9 月
- 1日:▼銀と青の軌跡鋭く残して、ウラギンシジミ、林縁にそびえ立つ木々の壁を一気に駆け昇る。
- 11日:▼アカママの花咲いている。緑立つ草の中、桃色目立つ。
▼ネザサ群に潜り込むようにしてヒカゲチョウ♀二頭が産卵。尾部折り曲げて一粒一粒葉裏に産み付けている。
▼体中真っ赤にして、ショウジョウトンボ一頭静止。
- 13日:▼林縁に、イヌホウズキの実、黒熟。花も咲いている。
コニワハンミョウ幼虫の
特異な生きざま垣間見る
◆これは一体…?鉄兜の下に骨張ってゴツゴツとした頬と顎、両端の極限にまで分け散った小さな丸い眼球。一見、ターミネーター4のアンドロイドを思わせる厳めしい風貌はチタン合金ではなく、れっきとした生き物、コニワハンミョウ幼虫の素顔なのだ。普段はこうして自らが垂直に掘り下げた竪穴に潜み、アリやヤスデが近づくのをじっと待ち構えている。穴のそば、射程圏内に小虫が踏み込むや、瞬時に体を後方へ弓なりに跳躍させて鋭い大あごで挟み付け、穴の底深くに引きずり込むのだという。
◆親が長い足で軽々と平地を疾走して獲物を捕獲するのに比べ、子は傍らを小虫が通ることだけを信じて、ひたすら待ち続けるのだ。そのわずかな機会の到来に、転生と自己の未来を託して…。一腹の兄妹の内、誰が大人になって平原の風を友にできるのか分からないにしても、誰に教わったでもない、それが幼虫独自の論理であり、生き様なのだろう。
6 月
- 13日:▼林縁のエゴノキに、今年もエゴノネコアシフシでき 始め。中では有翅のアブラムシ育っている。
▼神戸層群斜面に、オカトラノオ花盛り。
- 14日:▼黒い影がすり抜けるようにして、ヒカゲチョウ、鋭 い波状描き飛び去る。羽化後日浅く新鮮。今年初認。
▼オナガグモ久々。長い尾部もてあましつつ網に待機。
▼諸処にナンテンの花、咲いている。今が盛り。
- 19日:▼営巣中か、ウグイス、ヒト近づくにつれ警戒声しきり。最 接近したと思うや一転、ホーホケキョと肩すかしの一声。
- 20日:▼古池そば、湿った落葉の裏側に、コウガイビル、体 S字に曲げ、忍んでいる。全身真っ黒で忍者のよう。
▼チョウトンボ、三頭四頭、頭上高くを舞う。今年初認。
- 21日:▼アカメガシワ雄花雌花全開。辺りに甘い香漂う。
▼久々に降った雨の翌朝、大きなアカヤマドリタケ一 本、薄暗い林床に、淡く朱に浮き立っている。
▼林床のあちこちに、ヒメヤブラン淡く密かに咲いている。
▼雨後の濡れた谷筋の下り小径に、古池へ向いて大き なイシガメ一頭、小休止。産卵後、池への帰り道か。
▼南側道路沿いに、コマツナギ、桃紅色に咲いている。
▼ネムの花咲く。緑の葉間に、白混じる桃紅色の花が ボヤボヤッと霞み、空に浮かんでいるよう(河原)。
▼コクラン、林床に人知れず花開く(土田泰)。
- 23日:▼夕刻にキマダラセセリ、ヒメジョオンで、就寝前この 日最後の吸蜜。今年初認。近くの別のヒメジョオンで は、キアゲハ一頭、風に揺れながらはや一日の眠りへ。
- 24日:▼OLでコニワハンミョウの成虫走る(土田泰)。
- 26日:▼夕刻、オオバノトンボソウ三株、咲いている。近くでも別 の四株が開花。今年は数増え、間伐の成果(土田泰)?
- 28日:▼リョウブ、今日咲き始め。花穂の付根一輪が開いたばかり。
7 月
- 12日:▼ミヤコグサの草原で、キリギリスのんびりと鳴く(社)
- 14日:▼深い林の奥で、カナカナカナ…とヒグラシの乾いた 声。 チーィとニイニイゼミも細く高く鳴いている。
- 19日:▼林縁にナツフジ咲き始め。マルバハギも咲いている(土田泰)
▼クロマツ林東でトキリマメ、黄の小花つける。澄んだ秋空 に映える鮮やかな紅のサヤと比べ、随分と地味(土田泰)。
陽射戻った竹林跡に
初めてクロバイの花咲く
4月も終わり頃、竹林跡の一角に、白い小花を棒状房状に多数つけた中木を見た。この10年余り、毎月のようにそばを通りながら、この花が咲いたのを見たのは初めてだった。まさか?と思ったが、花と葉から、これがクロバイだったのだ。島熊山近辺でクロバイは珍しいと言われ、事実、少年文化館奥の古木が知られるのみだったので、嬉しい発見だった。
クロバイは咲き終わる先から林床一帯に小花が落下散在するので、近くを通れば開花を見落とすことはない。とすれば竹の間伐で大地に戻った光の恵みを受けつつ雌伏数年、開花への潜在力を蓄えて今年一気に爆発したのではないか。昨年5月、枝も折れよと突然大輪の花房で全身を飾ったカナメモチ同様、陽の偉大な力が及ぼした現象に違いない。足下を見渡せば、小さな種子を割って大地に根を降ろし始めた幼い実生で溢れている。また数10年、乏しい陽光の中、生きながらえてきた古い木々は今、生の活力を取り戻しつつある。この間の雑木林再生への積み重ねが一気に花開くのも遠いことではないのかも知れない。
(※写真提供:高妻勲さん/後日判明したことですが、高妻さんは既に4月19日にこのクロバイを見つけて撮影済みでした)
4 月
- 2日:▼サルトリイバラ雄花、咲き始め(土田泰子=以下泰)。
- 7日:▼少年文化館奥で、ミツバアケビ咲いている(泰)。
▼ヒオドシチョウ、刈り取ったササの葉上で羽広げて 縄張り主張。今年初認。アゲハチョウも初認(泰)。
▼モズ一羽、マツの天辺で盛んに何かの鳴き真似(泰)。
- 10日:▼尾根筋で、キジ♂に二度三度、バッタリ出会う。三 度目にはさすが驚いてか、バタバタと飛び去る(泰)。
- 11日:▼数年前に移植のシュンラン、花四つ咲く(泰)。
- 12日:▼芽吹く銀葉柔らかなコナラの頂で、イカル二羽がヒ ーホーヒーと鳴き交わす。ヒトの口笛吹くよう。
- 14日:▼春風に乗り、ヤマナラシ雌花の綿毛、中空を漂い流れる。
▼ヤマウルシの若い茎で、アワフキムシ、ブクブク。
▼特養西や登り口東斜面に、アオダモ、ボボッと咲いている。
- 16日:▼チヨチヨビーと鳴いて、センダイムシクイ来ている。
- 18日:▼コナラやフジの若葉巻いて、ヒメクロオトシブミ、はや、いつの間にか、ゆりかご作り置いている。
▼ミヤコグサ小草原の林縁で、眼前の小木にオオルリが突然飛来。ヒト=土田に気づき驚いて飛び立つ(泰)。
▼登り口向かいのフジ咲き始め。クマバチ、香りに惹 かれ、ブンブンと羽音たてつつ吸蜜に集まる(泰)。
- 19日:▼光射し始めた竹林跡で、今年、クロバイ初めて開花。コナラの小枝ではシメ、イカルとアオジまでが芽吹いたばかりの新葉、盛んに食べている(高妻)。
- 22日:▼ミヤコグサの小草原でツマグロヒョウモン♂初認(泰)。
- 29日:▼新緑の林の奥で、キビタキ澄んだ声でさえずる。今年初。
5 月
- 5日:▼マユミ咲く。秋の派手な朱のガクに赤い実とは違い、地味。
- 10日:▼一塊となり生育するシュンランの葉間から、七本の 花茎起ち上がり、七つの花パチリと開いている(社)。
- 13日:▼朝、シオカラトンボ♂♀見る(泰)。
▼スイカズラ咲き始め。一帯に甘い香漂い流れる(泰)。
- 20日:▼登り口そばのヤマナラシの葉に、サクツクリハバチ、 今年も自分の周りに柵作っている。不思議な光景(泰)。
▼草間から、キリギリスの幼虫ピョンと飛び出す(泰)。
▼尾根筋にナツハゼ、ネジキも釣鐘状に咲き始め(泰)。
- 23日:▼林縁に、実生で育ったセンダン、今年から薄紫に咲き始め。
山で一番のコナラ
お〜〜ィ〜
◆山で一番大きなコナラに会いに行った。春は未だ浅く、木漏れ陽を通り抜ける風も冬の名残を孕んでいた。18年前の今頃も確かそうだった。木や草が切り倒される!虫も鳥も獣も殺され、住処を追われる!そんな切迫した危機感を胸に、この木に寄りかかり、また登ったことがあった。彼方に青く霞む箕面連山を眺めながら、どうしたら良いかと話しかけていた。
◆齢100年を超えるコナラは今も当時と変わることなく、悠々としてたたずんでいた。傍らに寄り添い、深い皺の走る幹にそっと掌を当てる。木の暖かみが微かに伝わってくる。体をあずけて見上げると、僅かに身をよじらせながら白い雲浮く青空へ、天へと一杯に背伸びしている。太い枝から八方へ拡げた小枝の先々に、すぐにも新世界へ身を躍らせ出るであろう花と葉の芽が、ぷっくりと膨らんで無数に連なっている。太い幹に耳を当てる。この山の根源から湧き伝う深く重い鼓動を聞き取ろうと思った。老木の発する微かな言霊を感じたいと願った。それをかき消すように樹冠を風が渡り、木々が騒めき、遠くでシジュウカラの鳴き声が鋭くこだましていた。
2 月
- 2日:▼小草原林縁のハンノキ、♂花膨らみ花粉飛び始める。
▼南裾の一〇数本のトウネズミモチにツグミ、ヒヨドリ20羽以上が集まり果実食べている。ピヨ、ククッと賑やか。
- 12日:▼南東斜面で、シロハラ一羽が採餌するを見る(河原)。
- 15日:▼ミヤコグサ小草原出入口近くのササ刈り中、越冬中のツチイナゴ、騒ぎに驚き嫌々這い出る(井谷)。
▼暖かさを吸って、キタテハ越冬からお目覚め?、日溜まりに羽拡げて日光浴。朱地に黒の紋様が鮮やか。
▼軽費老人H北のクロマツ林で、ビンズイ五羽見る(高妻)。
- 21日:▼同じクロマツ林で、トラツグミに出会う。実に久々。この日のビンズイは雨上がりの水たまりで水浴びをし、時間をかけて羽づくろいをもする(土田泰)。
- 22日:▼少年文化館奧でウグイス初鳴き。ホッ、ホホッとまでは出せてもケキョが続かず。まだ下手(易信)。
3 月
- 5日:▼山の陽当たり良い諸処にヒサカキ開花始まり、特有の香、そこはかとなく漂い流る。夜気に濃く混じる。
▼ヒヨドリ、芽吹いたヤナギの新芽、次々に食べている。
- 8日:▼越冬明けのキチョウ、早春の山間を舞う。黄が鮮やか。
▼野にツクシ顔見せ(岸田興)。若竹も土を割き、尖った頭の先を少しだけのぞかせる(土田明、社)。
▼咲き始めたヒサカキの花にオオハナアブ飛来し、吸蜜(土田泰)。
▼林床に、ヤブコウジ可憐に咲いている(社)。
- 11日:▼ツチグリ、ポンと顔出し。蜜柑を剥いたよう(土田泰)
- 15日:▼エナガ、つがいで巣材集め。短いくちばしに細い枯草を何本もくわえて、新居の予定地に移動(土田泰)。
▼陽当たり良い裸地に、越冬明けのアカタテハ初認。
▼小草原の周り数カ所で、シュンランつぼみ膨らむ
(土田明)。
- 16日:▼自然観察路沿いで、ルリビタキ♀一羽つかず離れず。
- 20日:▼ツバメ初認。山の上空を悠々と飛翔(土田泰)。
- 21日:▼コバノミツバツツジ開花始まる。桃紅色が妖艶。
▼神戸層群上他で、カンサイタンポポ淡い黄に咲き始め。
- 24日:▼メマトイ、歩く先々で眼前にまといつく。今年初。
▼小草原西端でコナラ♂花咲き始め。この木が毎年最も早い。
鳥食べられて羽散乱
生きる厳しさ垣間見る
ミヤコグサの小草原西端で12月と1月に2度、野鳥が何者かに食べられ、落葉の上に羽が散乱していた。暗闇の中、今日を無事に過ごせて微睡みに入った時、突如襲った荒々しい暴力。言いしれぬ恐怖に渾身の力で羽ばたく。だが、身体に爪が食い込み、首が折れ、骨が砕ける中で、生命の炎が短く燃え尽きる。他の生命を奪うことでしか自己を生きられない、体内深くに組み込まれた不条理の刻印。今し方まで大空を駆けめぐっていた柔らかな羽をむしられる鳥と、その暖かな血肉を食べることで今日の命を繋いだ小動物も、やがて闇の中に音もなく沈んで行く。人の世の喜びも哀しみも全てを呑み込んで1日が暮れ、月日がさざ波を立てて過ぎ行くように、大自然もまた生と死の織りなす荒々しいこの修羅の営みを中に呑み込んで、何事もなかったかのように1日が終わり、季節は地を這い空を渡って緩やかに移ろい行くのだろう。
12 月
- 6日:▼夕方より急な冷え込み。風強く空青黒く澄み渡る。六時頃、南西の空低く金星と木星が並び、明るく輝く。南の空高くには上弦の月も照り冴える。
- 9日:▼竹林内の獣道に、再びタヌキらしきフン2本あり。今度もカキが主体。全体によく消化できていた。
▼葉を落としたヌルデの幼木に、ハラビロカマキリの卵嚢一つ。優しいお爺さんの顔のよう。
▼シャリンバイ、青灰色の大きな実、沢山つけている
- 13日:▼千里少年文化館奧に、マユミ多数実をつけている。淡い紅色のガクの中、濃い朱色の実が鮮やか(易信)。
▼ミヤコグサの小草原西の林縁に、一羽の鳥、食べられた跡あり。深く積もるコナラの落葉の上、鮮やかな黄の紋様入る羽をまじえ、多数の羽が散乱。無常。
▼黄葉して落ちそうなイヌビワの葉裏で、ウラギンシジミ、仮?の越冬。生まれて半年、羽先はボロボロ。
- 14日:▼陽だまりに、ムラサキシジミ、羽拡げて日光浴。濃い茶の中に紫の紋様が光り輝いて幻想的(井谷)。
- 21日:▼南側山裾に、ツルウメモドキ、何株も朱の実つけている。鳥が運んだ種子が育ったのか(土田泰)。
1 月
- 1日:▼島熊山オープンランドで一二〜三人が初日の出を待つも、生駒には雲かかり、見られず(片島、北之坊、 社)
- 4日:▼ミヤコグサの小草原西の林縁から、ヤマシギらしき鳥一羽、突然に飛び立つ(土田明)。同・八日には 少し離れた竹林内の元溜池跡で、やはりヤマシギら しきが足元から突然に飛び立つを見る(土田泰)。
- 15日:▼竹林の中、いつもの獣道にまたまたタヌキの新しいフン。カキのほかにシャシャンボを主に実が多く混じる。その獣道には二m〜一〇m間隔で他に四箇所、古いのから新しいのまで同様にフン落ちている。ここにきて活動盛ん。
▼同じ日、元溜池跡の土手にも三カ所にタヌキのフン。
▼奥の院のカキの幹に、タヌキの昇った掻き傷多数。
▼ミヤコグサの小草原西の林縁で、今度はキジバト食べられている。自然で生きることの厳しさ思う。
間伐進む竹林にも やがて冬の訪れ
積もる落葉の間から懸命に顔をのぞかせている1年生のアカマツ。鳥のくちばしから逃れ、光と水と大地とに恵まれて、多くの仲間から一人神秘の生命を開花できたのは、実に幸運なことだったろう。今年この元竹林で同様に産まれ育った数知れないヌルデやコナラの1年生とともに、初めて訪れる冬を無事に越し、また来年再来年と確かに年輪を刻んで行くことを、心から祈ろう。
10 月
- 9日:▼オオセイボウ、ニホンミツバチなどとセイタカアワダチソウで吸蜜。全身が瑠璃に輝き、鮮やか(土田泰)。
- 12日:▼林縁にアサギマダラ出現。眼前を悠々と横切って、セイタカアワダチソウでのんびりと吸蜜(土田泰)。
- 19日:▼ヒッヒーとジョウビタキの乾いた声届く。今年初。
▼ナツハゼ黒く熟す。食べると甘酸っぱい。ピラカンサは朱に赤に、シャシャンボも一部が黒く熟れ始め。青空を背に、ハゼの実は灰白に鈍く光っている。
▼ヤマナラシの幼木で、サクツクリハバチの幼虫、若葉を食みている。周りには身の丈にあった白い柵が林立。
▼ナワシログミの花咲く。辺りには甘い香、漂い流る。
- 27日:▼夜、マツムシの声途絶え、以後、昼夜聞かれず。
- 28日:▼アキアカネ二頭、ササの葉上に静止(土田泰)。
▼ウラナミシジミ二頭三頭、一時の休息。どれも羽先が欠けてボロボロで、漂着以来の苦労物語る(土田泰)。
▼稜線小径の両側に、コウヤボウキ咲いている(土田泰)。
▼いつもの裸地に、コツブタケ一個顔出し(土田泰)。
▼クロマダラソテツシジミ二頭、出現。山で初(土田泰)。
11 月
- 3日:▼竹の切り口で竹水発酵。白い塊が盛上がり、一帯に酒臭が漂う。酔ったアブ他が酒の池にはまり、溺れ死んでいる。
▼竹林の中に咲くコウヤボウキの花で、キチョウ盛んに吸蜜。
▼溜池跡にヤマガキ大きくなり、多数の実をつける。
▼ブチュチュチュと警戒声あげて、シロハラ来ている。
▼竹林内の獣道に、タヌキの物らしき新しい糞一塊りあり。あまり消化できてないカキと甲虫の足や羽が混在。
- 5日:▼林縁のアワダチソウで、ムラサキシジミ五、六頭がヒメアカタテハやベニシジミとともに賑やかに吸蜜(土田泰)。
- 12日:▼早朝、キキッと一声鳴いて、ツグミ上空を急ぎ行く。
- 16日:▼諸処にヤツデの花咲き始め。パチッと目を見開いたよう。
▼ジャージャーとカケス賑やか。山から下りてきている。
- 23日:▼林内密かに、ヒイラギの花白く咲き始め。良い香り。
▼倒木の朽ちた根に、クスやコナラの実生芽吹いている。
▼主の去ったジョロウグモの巣一つ、破れ、風に揺れる。
ヌルデミミフシ
熟
れ
た
果
実
の
よ
う
ヌルデミミフシ。ヌルデにできるアブラムシによる虫こぶと言うが、残酷で開けて見たことはない。ヒトの耳に似ているからだろうか。そう見えないこともない。現物は如何にも熟れた果実のよう。表皮の色つやは桃にそっくり美味しそう。
8 月
- 11日:▼タカサゴユリ、スラリと伸びて咲いている(土田泰)。
▼トックリバチ、尾根筋で巣材集め(土田泰)。
- 16日:▼強い風に乗り、遠く林の奥からカナカナカナとヒグラシの声流れ来る。ツクツクボウシも鳴いている。
▼小草原にショウジョウトンボ三、五頭、夏の陽を浴びてギラギラと光りながら舞っている。
▼同じ親から産まれたのか、一本の杉の木立低くに、十数体のアブラゼミの抜け殻、ひしめいている。 小枝をしっかり抱えているもの、葉先に危うくしが みついて凌いだものなど、個性もさまざま。
▼ヘビイチゴ、真っ赤な果実がツヤツヤと鮮やか。
- 18日:▼登り口東斜面で、マツムシ一頭、鳴き始め。デンデケデンの繰り返しで、まだ低音、早口、かすれ声。
▼配水場トンボ池内の樹上で、キチキチキチッと、モズの高鳴き鋭く響く。秋近し(河原)。
- 25日:▼登り口東斜面で、エンマコオロギ鳴き始め。
- 30日:▼登り口両斜面で、アオマツムシ一斉に鳴き始め。賑やかそのもの。ミツカド、ハラオカメも加わる。
9 月
- 5日:▼五つに分枝した一本の庭抜けミントの花に、モンキチョウが五、ベニシジミが二、キンケハラナガツチ バチ二頭が寄り合って仲良く吸蜜(土田泰)。
▼ヤマガラ、頭上でエゴの実をつついている(土田泰)。
- 14日:▼ホシミスジ、ササの葉上で鳥の糞汁を吸っている。
- 21日:▼神戸層群上に、すっくと伸びてメドハギ咲き始め。
▼今年初めてのヒッツキムシ付く。まだ緑鮮やか。
- 23日:▼ヌルデミミフシ大小、特定の木になっている。若いものは薄い黄緑に、大きいものは淡く桃色に色づく。
▼南小草原に、ヒメジソ点々と咲いている。良い香り。
▼ナンバンギセル、三株五株と咲き始め。例年よりやや遅めで、数が大きく減っている。
▼フユノハナワラビ、幾株も成長。立てた腕の拳を開いていくように、胞子葉が立ち上がり開き始めている。
▼驚いた表情をして、アオバハゴロモ此方を見ている。
エゴノキに咲く不思議な花?
毎月の森の手入れ、清掃の折に昼食を食べ、お茶を飲んで憩う小草原林縁に、大小4株のエゴノキがある。うちの1本に時折り妙な
花が咲く。厚ぼったい10枚ほどの花弁が、今にも開いて大輪の花となりそうな気配が漂う。それが
エゴノネコアシフシという名の虫こぶで、見るからにネコの足指そっくり。ニャンとも面白い形だ。バナナのような「花弁」の各々の中にアブラムシ=アリマキの1種が生育しており、7月頃、先端に開く穴から羽を持つ成虫が世に飛び立つ。この時の成虫は全て雌で、生活の場を一旦イネ科野草の一種に移した後、雌だけで何度かの世代交代を繰り返して、やがて晩秋、この年初めて出現した雄と交尾した雌は再びエゴノキに戻って越冬卵を産み、ついに死に絶えるという。(参考:虫こぶ入門等)
6 月
- 1日:▼林縁にウメモドキ咲き始め。半透明の淡いピンクの 花が瑞々しい。花は四弁と五弁とが混在。
- 7日:▼アリグモ、ハンノキ葉上で巨大な口吻かざして徘徊。
▼神戸層群端で、オカトラノオ咲き始め。
▼ササの葉上に、孵化直後のカマキリ幼生静止(谷)。
▼林縁にミズイロオナガシジミ初認。黒い條紋の走る 青みがかった白の羽が輝いており、新鮮(土田泰)。
▼竹林内で、トンボソウ、花穂一直線に伸び、小さなつぼみ多数つけている。近く開花(土田泰)
▼登り口東のフェンス金網に、タケカレハ器用に蛹化。
▼南裾に、クララ二株見つかる。一株は花つけている。
- 8日:▼クズの葉上で、オジロアシナガゾウムシ交尾。小草原では、モンキチョウ黄♂と白型♀が交尾。
▼ナンテンの花咲き始め。良い香り微かに漂う。
▼ウメエダシャク多い。ハタハタと頼りなげに飛翔 (土田泰)
- 15日:▼雨後の側溝に、コウガイビル三頭、今年初お目見え。
- 16日:▼ヒカゲチョウ初認。紋様も濃淡も鮮明で、新鮮個体。
- 18日:▼林縁のエゴの木に、エゴノネコアシフシ四つ出現。
- 19日:▼コウゾの実、朱に熟れ始め。食べると甘い。
7 月
- 2日:▼少年文化館奧で、大きなシャシャンボ、開花始まる。白い釣り鐘状の小花多数、小枝一杯に釣り下がる。
▼クヌギの木から出る樹液に、カナブン、スズメバチ、ルリタテハ、コムラサキなど大勢が押し合いへし合 い。
▼古池南斜面に、ヤブコウジ、淡いピンクの花咲かせている。
▼シャンシャンシャンと、クマゼミ初鳴き。
- 10日:▼豊島東小草原林縁で、ナガサキアゲハ二頭見る(土 田泰)。
- 13日:▼アオスジアゲハ交尾の舞。ゆっくり飛ぶ雌の周りを 雄が何 度も縦にクルッと飛び回り、誘う。木漏れ 日に幻想的。
- 20日:▼尾根の南裾に、コマツナギ、桃紅色に咲いている。
▼水場上の大きなネムノキ、花咲いている(河原)。
▼尾根筋に、マイコアカネ見つける(河原、土田泰)。
- 26日:▼風渡る黄昏時、林の奥でヒグラシの声、カナカナカ ナと遠 く流れ来る。アブラ、ニイニイ、クマゼミ も鳴いている。
樹勢弱きカネメモチに突如大輪の花 無数開く
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偉大なり 陽の光
驚きと感嘆。その時の気持ちはこれ以外に表現できない。全身に花房をまとい、突然眼前に現れた1本の中木。白い小花が多数集まって直径10p程の半球状の花房を作り、その花房が緑の葉を押しのけて至る所に着いている。その数700余。横に張り出した枝は重みでたわんでさえいる。今の時期、前年も前々年もこの木のそばを通り作業もしたのにこれまで花に誰一人気づかなかったのは、今年初めて咲いたからに違いない。周りの竹がなくなり、良く光を浴び始めて何年か、全身に蓄えられた力が今年一気に爆発し、これ程の開花になったのだろう。偉大なり陽の光、不思議なるは木の潜在力か。 後の土田泰子さんの指摘では、この木は『カナメモチ』だった。 (写真提供:土田泰子さん)
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4 月
- 6日:▼山中の諸処にコバノミツバツツジ花盛り。木漏れ日を浴びて妖艶。ヤマザクラはポツポツと咲き始め。
- 12日:▼少年文化館奧で、アケビ透明感ある白い雄花雌花つける。近くにミツバアケビのえんじ花も咲き始め。
▼ギンリョウソウ、薄暗い谷筋に隠れ咲く(丸橋)。 - 13日:▼ヒーフーホーと口笛吹くように、イカルの澄んだ声、春風に乗り流れ来る。
▼竹間伐後の陽当たり良い獣道で、シマヘビ日光浴。
- 20日:▼豊島東隣の斜面に、フジ咲いている。
▼ウグイスの完成されたさえずり、林中にしみ渡る。
- 22日:▼アオダモ、ボワっと咲いている。淡い透明感ある白い花弁が柔らかな新緑と相まって、ほんのり。
- 23日:▼シシシシとヤブサメ、声潜め鳴いている(土田泰)。
- 22日:▼渡り途上、林中にキビタキ二羽のさえずり、澄んでしみ渡る。一羽は樹冠を過ぎる姿も見る。チヨチヨビーと、センダイムシクイも渡りの羽休め(土田泰)
▼小径沿いに点々と、カマツカ咲いている(土田泰)。
▼陽当たり良い小径沿いでヒメクロオトシブミ、コナラの若葉巻き、三つ四つとゆりかごづくり(土田泰)
5 月
- 04日:▼少年文化館奧の林中で、クロバイ霞が如くに花盛り。
▼少年文化館建屋下に、アリジゴクの巣穴点々。
- 11日:▼間伐進む竹林奧でキンラン一株。雨上がりの落葉の中、リンと伸びた頂に、輝く金のつぼみ二つ(社)。
▼ナナフシ幼生、コナラ葉上をフワフワと歩く。
▼マツやヤマウルシの若枝で、アワフキムシブクブク。
▼小草原林縁で、エゴの花咲き始め。
- 15日:▼キイロテントウ、ハンノキ葉上に多数(土田泰)。
- 16日:▼オオヨシキリ、登り口東斜面でギョギョシ、ギョギ ョシと賑やかに鳴く。翌日にはもう居ない(土田泰)
- 18日:▼スイカズラ、金銀に咲いている。良い香り(丸田)。
▼ネジキ咲き始め。小枝一面、白花清楚に吊下げている。
▼間伐の竹林の中、カナメモチ一株、枝も折れよと全身を大輪の花で飾っている。時を待ち一気に開花か。
ササ刈りお疲れさん
雪の下から何かうまいもん飛び出せへんやろかな〜
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葉に積もる雪を払いつつササ刈りに奮闘している間に、どこからかいつの間にかやって来て、傍らで作業をずっと見守っていたモズの雌。誰がつけたかモズ子ちゃんと呼ばれていた。草木が雪を被り採餌するに困っていたところに、ササ刈り十字軍の出現で、虫が驚き追い出されるのを大いに期待したのだろう。地面に素早く舞い降りるのを見たし、「細長い緑の虫をくわえていた」との証言もあり、つき合った成果は一応あったようだった。(写真提供 土田泰子さん)
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2 月
- 6日:▼ツグミ一〇〇羽の大群、道沿いのトウネズミモチの実、すっかり食べ尽くす。これほどの群れは初めて(土田泰)。
- 9日:▼今年一番の大雪。情景が一変す。山も一面白い雪景色となり、階段上のオープンランドで一二pの深さ。灰色の空からは湿り気を帯びた重い雪が夕方四時半過ぎまでなおもコンコンと降り積む。
- 10日:▼快晴、積もった雪が眼に眩しい。ヒトヨタケ一本、深い落ち葉の下に人知れず伸び育つ(土田泰)。
▼モズ♀一羽、林縁のササ刈るそばをついて離れず。
- 24日:▼昨夜来の降雪で、山は今年三度目の深雪に埋もれる。尾根小径では、配水場裏の斜面から尾根を横切り南へ下る横道へ、小動物の足跡点々と続く(土田明)。
▼軽費老人ホーム「豊寿荘」西の松林で、ビンズイ一羽、一部雪の解け露出した土の上を尾を振りトコトコと歩きつつ、長い間かけて採餌。
▼落葉した木々の小枝に花と咲いた雪、強い風が吹き抜けるたび、吹き飛ばされて吹雪と舞う。どの幹も同じ側に雪が張り付いており、風雪の激しさ物語る。
3 月
- 6日:▼神戸層群崖への小径でルリビタキ若♂見る(土田泰)
▼キクイタダキ数羽、小声で鳴き交わしつつ、背高いアカマツの小枝を行きつ戻りつ。久しぶり(土田泰)
- 9日:▼エナガ、つがいで移動。巣作りの準備?(土田泰)。
▼メマトイ登場。まさに眼前をまとわりつく(井谷)。
▼モズ♀、ササ刈る目の前五mで、時折フト首を傾げつつ、虫にありつこうと作業見守る(土田明)。
- 15日:▼アカタテハ初認。何処でまどろんでいたのか(土田 泰)。
▼積もる落ち葉めくると、葉裏で越冬中のアオクサカメムシに出会う。体色の緑が鮮やか。動き随分と鈍い。
- 16日:▼竹林内で、そよ風に乗り特有の香、微かに漂う。ヒサカキの開花始まる。雌花も雄花も同時期咲き始め。
▼竹伐採跡地で、大きなフサアカシアの親木の周りに四株五株と実生から幼木育ち始めている。初めての事。
▼陽溜まりの中、ヤマトシジミ新鮮♂飛び立つ。初認。
センダンまたたくまに成長
鳥の運んだ種から育つ
| ◆羊がおでこに丸い毛糸の玉を乗せているような柔らかさをかもしだすこの葉痕と冬芽はセンダンのもの。か細い幹ながら、そこから伸びる長い葉柄の付け根は太く盛り上がる。小葉が密生する大きな複葉へせっせと水を補給して、逆に葉でこしらえた養分をたっぷりと送り返してもらうに十分な太さだ。だから成長が早いのか。2年前にはヒトの背丈しかなかったこの幹が、今では見上げるばかりの高さと二の腕ほどの太さになった。 ◆かつてその場所で世を謳歌したヤナギの枯死とともに姿を現し、成長途上で二度も根元から切り捨てられる不遇を乗り越えて、ここまで大きくなった。今年の初夏には、まだ誰も見たことのない初めての花を咲かせてくれるかも知れない。 |
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12 月
- 1日:▼山は紅黄葉深まり、色づく。アカメガシワの黄葉目 立ち、ヤマウルシの濃い紅はとりわけ鮮やか。
▼竹の間伐跡に、チャの木一本見つける。白い花が咲 き、つぼみもつけている。
▼竹林内斜面にスズメバチの巣あり。直径五p程の出 入り口に、当初一頭が体を低くして相撲の仕切の構 えで此方を睨んでいたが、すぐにもう一頭が顔を出 し、今にも飛びだそうと迎撃体勢にはいる。
▼尾根小径に、咲き終わったアキノキリンソウ一株。
▼ナンテン、マンリョウ、サルトリイバラの赤い実鮮やか。
- 9日:▼エナガ、シジュウカラ、メジロの混群、南草原端の ナンキンハゼの実、盛んにつついている(土田泰)。
- 16日:▼テリハノイバラの赤、タチバナモドキの朱、カミエ ビの濃い藍色の三種の実が一ところで競演(丸田)。
▼先月に続き、またスズメバチの空の巣みつかる。直 径一五pぐらいで、コガタスズメバチの巣(田方)。
▼山中をフユシャク(SP)盛んに飛び交う。
2008年 1 月
- 4日:▼南斜面山裾のスギの木の下で、アオジ一〇数羽が珍 しく群をなし、盛んに採餌。東斜面ではジョウビタ キ♀が小枝と地面とを行ったり来たり(土田泰)。
- 5日:▼カワラヒワ二羽、キリコロとしゃべりつつ、ナンキ ンハゼの白い実つついている(土田泰)。
- 9日:▼ツグミ、南小草原で採餌するを見る。二五日には二 羽が小走りに走っては胸を張る姿も見る(土田泰)。
- 20日:▼水場そば、マツの古い切り株の上に、コサギの食べ られたあとあり。大小の白い羽が散乱。
▼山に初雪。一面をうすく白い雪が覆う。
- 26日:▼豊島東小草原のセンダンやトウネズミモチ、この一 年で急に大きくなる。親のそばで実生から育つハン ノキも一挙に伸び、今年初めて花つけた株もあり。
▼深く積もるコナラの落ち葉の間に、カンサイタンポポのロゼット、冬の淡い陽浴びて顔見せている。
- 27日:▼少年文化館横にロウバイ咲きにおう。いま真っ盛り。