コドラート、移植苗、希少種、各斑調査報告


メニュー 2013年 通信160号より
移植苗調査班報告
(易 信子)
2009年度 通信136号より
希少種調査班 報告
(易 寿史)
通信136号より
コドラート調査班報告
(社ひとみ)
通信136号より
移植苗調査班報告
(易 信子)
2008年度 通信130号より
希少種調査班 報告
(易 寿史)
通信130号より
コドラート調査班報告
(社ひとみ)
通信130号より
移植苗調査班報告
(易 信子)
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希少種調査班 報告
(易 寿史)
通信124号より
コドラート調査班報告
(社ひとみ)
通信124号より
移植苗調査班報告
(田方 洋)
2006年度 通信122号より
希少種調査班 報告
(易 寿史)
通信122号より
コドラート調査班報告
(社ひとみ)
通信122号より
移植苗調査班報告
(井谷弘治)
2005年度 通信116号より
希少種調査班 報告
(易 寿史)
通信116号より
コドラート調査班報告
(社ひとみ)
通信116号より
移植苗調査班報告
(井谷弘治)
2004年度 通信110号より
コドラート調査報告
(浜口弘幸)
通信110号より
移植苗調査報告
(井谷弘治)

 2013年 6月9日 移植苗調査と希少種調査が行なわれました。

2013年移植苗調査班 報告(易 信子)

移植苗調査も10年目


 様々な木々と林床の草花を繁らせる豊かな雑木林を育て、タヌキやキツネ、昆虫や野鳥たちの生息域を広げるための竹間伐活動にともなっての移縁苗・実生苗でした。調査を始めて10年が経過し、それぞれの苗は縁の中にすっかり溶け込み、新生雑木林の一員です。
(1) 移植苗、スタートから今まで
 1994.4 竹間伐作業を始める
 2000.7 奥の院の竹間伐に入る(タヌキの食料になるカギの木を敷う)。
 2000.9「大阪みどりのトラスト協会]から道具を揃えるための助成金をうける。
 2002.11 どんぐりの苗床作りスタート。アベマキ・コナラのどんく恂を集める。
      (竹間伐の跡地は生き残った大木以外は裸地状態に近く、早く雑木林として再生させるために林内の樹種を増やすことにした)
      このかん、雨水を溜める給水装置を設置し、移植苗に水やりも行なう。
 2004.3 第1回実生苗調査(林内に出てきた実生苗も大切にし、現在の番号杭を打       つ。どんくりの苗は320本育ち、6ケ所に分散して移植する。)
 2005.3 A〜Fの6ケ所に移植したどんぐり苗は3〜7cmに生長。内Fは積んだ竹の下敷きになる。
 2007.7 1〜5の番号杭が消失のため、新たにどんぐり苗床から移植し作り直す。

(2) 実生苗、移植苗の生長
どんぐり苗床からの移植苗(2007.7から)林内に出てきた実生苗(一部を例に)
  No.1 アベマキ 40cm→330 cm
  No.6 ヒサカキ 12cm→76cm
   2 アベマキ 29cm→340 cm   21 コナラ  10cm→70cm
   4アベマキ 34cm→70 cm   22 ムクノキ 30cm→86cm
入り口に近い場所。No3,5は不明。10年間残って確認出来た上記3本は300 cm近く伸びたものもあり、生長は年によって8〜54cmの幅がある。毎年一様に伸びるわけではないことが分かる。   24 クスノキ 22cm→216 cm
   35 ムクノキ 37cm→250 cm
   45 アカマツ 29cm→195 cm
   53 コナラ  23cm→600 cm
どの樹種も10年間残り確認出来た苗は、樹種を問わず生長している。間伐作業の途中で番号杭が消失したり、苗そのものが見当たらなくなったものが多かった。

(3)移植苗・実生苗調査の意義と今後  (1)で記したように竹間伐を始めた頃は林床はほぼ丸裸だった。再び雑木林としての賑わいを取り戻すべく、どんぐりからの苗や実生苗を育て水やりをするなど、森の再生に力を貸し、見守ってきた。 2002年から12年間の道のりだった。私たちの心配をよそに島熊山の生命力は健全で、移植の力を借りなくとも自らの力で雑木林として蘇ることが出来ると教えてくれた。林内各所の調査苗は53本中17本しか最後まで残らなかったが、それ以外の木々も何と成長の早かったこと!今後は島熊山の雑木林が次へのステップヘ進む過程を暫く見守りたい。               (北緑丘 易 信子)
 2009年 6月14日、入梅と言うのに雨の気配さえないカンカン照りの中、調査参加者全員が3班に分かれて終日森の調査を実施しました。同時に新人ボランティアの方は、3回目の里山の管理研修と作業に心地よい汗を流した一日だった。

2009年度希少種調査班 報告(易 寿史)


 島熊山の希少種調査も今年で7年=8回目を迎えた。5年目で対象区域の一通りを調べ終え、昨年はまとめとして全域の追認調査を実施した。それを踏まえて今年は全体を4区域に分け、うち2区域に焦点を当てて、各々で課題を持った調査を実施した。 竹林間伐→雑木林再生が進む区域(A区域)=6/14調査(岸田興、柴田、田村、谷、易寿)

* 内容は一部伏せております。
■今後は当面成り行きで
雑木林化が進む途上の環境下で、○○科にとっては今の適度な日当たりと温度、風通しや湿り気が好条件なのだろう。自然増が期待され、当面、ここ2−3年はこのまま推移を見守ってもよいのではないか。 島熊山緑地(D区域)= 6/21午前中調査(柴田、易寿)

■他区域にない自然度の高さ
4区域の中で最も自然度が高く、家庭排水の流れ込まない古池を傍らに控えて適度な湿度もあり、○○の残る唯一の地。新たな種類の発見が期待された。竹林内では過去に○○発見の実績もあり、昨年、一昨年と2年続いて大輪の○○が花開いた場所も含まれる。

■結果は無残 これまで確認した株は全滅
花咲いた○○は隣の1株とともに姿さえ見られなかった。4月、5月に確認に行った時、茎も葉も伸びてなかったので心配していたが、もはや盗掘にあったと考えざるを得ない。常にその危険を孕んでいたにもかかわらず、何らの手も打たなかった事が悔やまれる。
 間伐進む竹林内では、昨年見つかった○○、○○、○○などは全滅。今では、切って積み上げられた竹の下かと思われる。谷筋の○○も姿を消した。なぜか林床が予想以上に乾いており、それが要因なのか、または盗掘なのかは不明だ。

■今後問われる保全策の具体化
今となっては打つ手は限られている。新たな株の自然な発芽・出現を待つか、それとも他の3区域から株を移植するか種子を採取して蒔き広げるのか。いずれかにより新株が根づけば、いまその保全策を具体化させる時期にきたのではないかと思われる。
神戸層群から尾根筋沿い(B、C区域)=今回は未実施  9月後半に実施の計画 昨年、やはり計画したが、ついに実施しなかった。今年はぜひ実現したい。
  [北緑丘:易寿史]
2009年度コドラート調査班報告   社 ひとみ

コドラート調査班

コドラート(枠取り法)調査班
   (東、田方、土田泰、社)
 調査日2008.06.08(上段)調査日
  2009.06.14(下段
 または、一段のみ)
 島熊山樹木調査(コドラート)集計  
 (本)ABCDE
1234512345123451234512345
ヌ ル デ735445462134341133  24   104
894524253 24441341576222872
ク ス ノ キ65 24343 1642 24243215262 3
59214133 353211122232228321
マ  ツ34  11 4103   6311 1   1  1 
542312 473 43733 64   1  1 
 ヒ サ カ キ433 6124672    141 2  121  
423 411573    1153 2  114  
 アカメガシワ431 114 65 1333312  222   3
391 1 4 24 1312314  241 1 4
 ナンキンハゼ331  21  2   22  2  1    1010
26 1 11  2  32   31111 1 44
 ア ベ マ キ191    1       3 4 1 4 1  4
 ヤブニッケイ12     11 1 1111 1 21 1    
17   1 1111 11    351 1    
 クロガネモチ133     3 2   11 11   1    
1521 12 2 2   1  1 1   1  1
 サルトリイバラ142  3  1 2    11   1111   
1421 3   11    1   2  21   
ア ラ カ シ14 1       1     1131 1131 
ネズミモチ9          11  1 1    122 
11    1     2     2   22 2 
ウルシの仲間162 1    41  12      11 1 2
111      3   12     2  1 1 
ク サ ギ101        2   33    1     
 ネコノチチ10  11 1  12  1        2 1 
 コ ナ ラ8        1  1  2   11  1 1
5  1     1      2      1  
 シャリンバイ7    2           1   211  
3    2               1    
 ナ ン テ ン3    1  1                1
3    1  1     1           
 シャシャンボ1                   1     
2                   11    


その他 少数の植物                     2009.06.14  
 (本)ABCDE
1234512345123451234512345
カナメモチ2    1  1
ク チ ナ シ2   1  1 
タ ラ ノ キ211     
ム   ク2     2
イ ヌ ビ ワ1     
ウメモドキ1    1 
カ   キ1  1   
サンショウ1 1    
ソ ヨ ゴ1   1   
マルバハギ11     


 1999年3月から調査開始、今年の調査で11年分のデータが揃った。2007年からは、調査月を3月から6月に変更(よってこの年は2度行った。)通信には、前年の調査結果と比較したデータを掲載しているが、それもこれまでは表記するだけで分析するところまでは至っていない。
 今年の調査後の感想から、調査木の背丈ものび、枝葉も繁ってきたので、しばらくは、自然遷移に任せて、調査間隔をあけてみようとの提案があった。それに先立って、まずは、これまでのデータを一覧にして、会員各位からのご意見も参考にしながら、まとめてみることになった。(P.10 事務局よりから、日程参照)(緑丘 社 ひとみ)
2009年度移植苗調査班 報告(易 信子)


 当会が豊島高校東側から新御堂筋にかけての森の手入れを始めたのが1999年。車道側に10mの問をおいて尾根に向けて竹間伐していった当時、林立する竹で森は暗く、立ち枯れの木も多く、林床には何も生えていない状態であった。元の雑木林を復元するため02年〜03年、コナラとアベマキのどんぐりの苗床を作り育てた。浜口さん考案の雨水集水装置で苗床への水やりも行っていた。04年、それらの甫(317本)をA〜Fの6ケ所に移植、更に林内で自生した実生苗を70ケ所近く移植した。それ以来、毎年生長を記録している。  例年@移植苗を探しA高さを計測・記録し番号杭を補修するB草刈り等で周囲を整備する作業を行うものの、@に苦労するため、今年は土田明さん作製のニュー杭が登場した。 竹杭より分かり易く耐久性もある。調査する側も慣れ、一日で完了できた。  順調に成長しているコナラ・アベマキ10ケ所、クス・アカマツ・ムクノキ等150cmを超えたものも6本あった。当初と異なり過飽和状態にある林床の状態を見ながら、今後どの木を中心に育てていくかも考えていく必要がありそうだ。   (北緑丘 易 信子)
 担当:井谷、土田明、土井、戸部、横山、易信
移植苗成長記録  単位(cm)
NO樹種04年05年06年07年3月07年6月08年09年備考
1アベマキ20  40455384 
2アベマキ40   2949119 
3 25    5275アベマキ
4アベマキ30  34403238 
5アベマキ   16424240カキに交代
6ヒサカキ12   223860 
7コナラ10 1822254574アベマキ
8コナラ20 3536363034カキ
9コナラ16191419121330 
10 162364128195090ウルシ
11クス172630606480100 
12コナラ17182130222637 
13コナラ10111323294564 
14コナラ13171120171730 
15コナラ183239421719 なし
16コナラ12152433384560 
17アカメガシワ2539609393 137154 
18ヒサカキ14152418222930 
19コナラ11131313141629 
20 14 2218   なし
21コナラ10131419303845 
22ムク30485867657078 
23コナラ1525365620  なし
24クス22 292970 150 
25アカマツ3470120150185120200 
26ハゼ48103128210230300400 
27ムク23 447172 54 
28クス2024262670190220 
29アカメガシワ12 6884903645 
30 213024  17950アカメガシワ
31 14      なし
32アカマツ82017395270115 
33アカメガシワ61220344060 なし
34ムク17303940457039 
35ムク3797122140160180220 
36コナラ30   18  なし
37 12枯れた     なし
38クロガネモチ599598172677795ヒサカキ
39コナラ3248107151352932 
40コナラ4590136130606040 
41 41668294 2234近くにクス
42コナラ441021141654015 なし
43 3773101106  130エノキ
44ムク2843758585 90110 
45アカマツ2967901057880107 
46コナラ32384950474454 
47 14222837  20サンショウ
48 13       なし
49コナラ211440402531 なし
50アベマキ1813313328   
51コナラ1033172027  なし
52アベマキ    7815090 
53コナラ    160200280 
 2008年6月8日、森の調査が行われました。昨年と同様6月の調査参加者全員3班に分かれて午前午後とも各班調査活動。午後は新人ボランティアの方も見学並びにどれかに参加して頂きました。

2008年度希少種調査班 報告(易 寿史)


 5年前、新御堂筋そばから始まった希少種調査も、昨年、最後に残った島熊山緑地を終えたことで初期の目的をひとまず達成できた。とりわけ昨年は調査時期を6月(+9月)に変更したことにより、それまでの3月調査では見られなかったササユリなども確認でき、調査は大きく進展した。6年目に当たる今年はその一定の成果の上に立って、白地図に記載した種別個体の存在と位置確認のために、重要地点を文字通り駆け足で回った。以下に当日の調査を3点に分けて報告し、合わせてその中で浮かび上がった課題を未整理のまま列記した。

 [1]当日の調査
 @ 昨年大輪の花を咲かせたササユリはどうなったか。昨年より9日早いだけの今年の調査日だったので、咲いているかとの期待と、咲いていたら獲られていないかとの不安を抱えながら現場に立ち会うと、残念なことに、蕾が開いたばかりの1株が誰かに折り獲られ捨てられていた。昨年花をつけた株に違いなかった。
 A キンラン、アキノキリンソウ、オケラの衰弱が心配される。この3種について、成育状況を確認したかった。キンランは残念ながら相当に減少。アキノキリンソウは昨年4株から今年1株にまで減っており、その株も生育が悪く、危機的な状況だ。オケラは個体数を5から4へと減らしたものの、今年の株は昨年のに比べてやや大きいようだった。またギンランは竹の間伐後に突然出現した場所にはもう見られず、今は少し離れてそれらしき個体が9株、昨年来見つかっている。
 B 逆に個体数を大きく増加させたのがオカトラノオ。これまでに斜面で確認されていた20株ほどの小群落の下方に、背丈は低いもののほぼ同数の小群落が生育していた。上方を被っていたコナラの枝打ちをし、間に割り込んで繁茂するササを刈り取った成果が見られた。今年も同様にササの刈り取りを行った。

 [2]今後の課題
 @ 毎年花を咲かせるササユリの保存。いつかユリ根ごと盗掘される危険あり。
 A アキノキリンソウはもはや猶予がない。1株では種子の採取も困難。別の方法で、人の手を加えて絶滅を防ぐ必要あり。
 B 竹の間伐の結果、そこにそれまで見られなかったキンランやギンラン、トンボソウなどが突然姿を現した。林内他所でも適度な間伐と下草刈り、腐植しにくいマツ葉の取り除き等の作業により、希少種個体の増加、また新たな希少種の出現も期待される。
 C 今年は9月に追加調査を実行したい。希少種として設定しながら、一度も班として確認できていないものが6種ある。時期的にどうしてもずれてしまい見られないギンリョウソウを除いて、残る5種、ナンバンギセル、ワレモコウ、ヌスビトハギ、フユノハナワラビ、ウラジロについては、調査を9月にすることで 確認できると思われる。
 D より多くの情報収集に努める。会による年1、2回の調査以外にも各個人から、季節を問わず日常的に希少種の消息を確認する。
 E 豊中にあって《希少種》とは何か、何故であるのかを生態系の中に問い直し、改めて位置づけていく。

         [担当:岸田興、谷、田村、古田、易寿   まとめ:易寿]
2008年度コドラート調査班報告   社 ひとみ

コドラート調査班

島熊山樹木調査(コドラート)集計 調査日 2007.06.10(上段)
   2008.06.08(下段)
  ABCDE
1234512345123451234512345
ヌ ル デ7871023 1232325   31  33 1774
7354 45462134341133  24   104
クスノキ762 4 3321 634 2325561349323
65 24343 1642 24243215262 3
マ  ツ693521 883433773424      2 
34  11 4103   6311 1   1  1 
ナンキンハゼ561110 2231  3441  223     8 
33 1  21  2   22  2  1    1010
ヒサカキ523 6116982    172 2 1   3  
433 6124672    141 2  121  
アカメガシワ492 211453 1 374223  62  1 
431 114 65 1333312  222   3
 ネズミモチ22     3  1  1   413   3 24 
9          11  1 1    122 
ヤブニッケイ20     2221 32 1  131  11  
12     11 1 1111 1 21 1    
サルトリイバラ201   6 1 1    22  311 2   
142  3  1 2    11   1111   
コ ナ ラ15 11     1  1 2  112   23 
8        1  1  2   11  1 1
 クロガネモチ142   1 311   11 12    1   
133     3 2   11 11   1    
シャシャンボ 7    4              11 1  
1                   1     
ア ケ ビ 7      1    2    2  2     
                          
ウルシの仲間 71  1   3 1              1
162 1    41  12      11 1 2
ナンテン 5    2  2 1               
3    1  1                1
シャリンバイ2                    11   
7    2           1   211  
   全体に見ると、前年に比べて数が減っている。自然淘汰されているのか、
   環境が変化して(温暖化?)育ち難くなっているのか?


 コドラート調査を始めて10年。昨年からは、3月調査を6月調査に変更する。ヌルデ、クスノキ、アカメガシワは高さ1mを越え、枝もはり、木どうしが重なりあうようになった。調査目的を再確認しながら、調査方法を検討したい。
                  (担当:土田泰、土井、社 ・記録 社 ひとみ)
2008年度移植苗調査班査班報告  易 信子

 今年は調査者が少なく3人でスタートした。
   (1)1番から順に移植苗を探す。
   (2)巻き尺で苗の生長を測る。
   (3)記録する。
   (4)古くなった標識のビニールテープを巻き直し、番号も書き直す。
   (5)移埴苗が生長しやすいように周辺のササ刈りや道作りもする。
 と、やるべきことは多く、3人で分担して進めた。とりわけ林内53地点に散らばった移植苗を探すのが大変で、毎年行っているはずなのに時間がかかってしまう。
 記録から分かるように53地点中12地点では苗が見つからなかった。暗くて陽があたらず枯れたものもあった。移植苗の大部分は島熊山在来のアベマキやコナラのドングリを育てたものだが、その苗の成長が遅く、早く成長するアカメガシワやハゼノキ、ムク等に負けてしまったものがある。順調に育っている宙にも、途中で折れたりするハプニングが起きる。また各苗木が、周囲の自然成長した木々と肩を並べるようになると、お互い共倒れにならないよう考える必要もありそうだ。
               (担当:土田明、本俸、皆光、易    記鐘:易 信子)
移植苗成長記録  単位(cm)
NO樹種04年05年06年07年3月07年6月08年備考
1アベマキ20  404553 
2アベマキ40   2949 
3 25    52 
4アベマキ30  344032 
5アベマキ   164242 
6ヒサカキ12   2238 
7コナラ10 1822254518
8コナラ20 35363630 
9コナラ16191419124913
10 1623641281950ウルシ
11クス1726306064804本
12コナラ171821302226 
13コナラ101113232945 
14コナラ131711201717 
15コナラ1832394217193本
16コナラ121524333845 
17アカメガシワ2539609393 137 
18ヒサカキ141524182229 
19コナラ111313131416 
20 14 2218   
21コナラ101314193038 
22ムク304858676570 
23コナラ1525365620  
24クス22 292970  
25アカマツ3470120150185120 
26ハゼ48103128210230300 
27ムク23 447172  
28クス2024262670190 
29アカメガシワ12 68849036 
30 213024  179アカメガシワ
31 14      
32アカマツ82017395270 
33アカメガシワ61220344060 
34ムク173039404570 
35ムク3797122140160180 
36コナラ30   18  
37 12枯れた     
38クロガネモチ5995981726777 
39コナラ32481071513529 
40コナラ45901361306060マツ66
41 41668294 22クス
42コナラ441021141654015 
43 3773101106   
44ムク2843758585 90 
45アカマツ2967901057880 
46コナラ323849504744 
47 14222837  暗い
48 13      暗い
49コナラ211440402531 
50アベマキ1813313328  
51コナラ1033172027  
52アベマキ    78150 
53コナラ    160200 
参加者全員3班に分かれて山の調査
 今年度から山の3種類の調査は6月にすることになりました。これまでは1年間のまとめとして3月度に実施してきましたが、コドラ一ト調査班では落葉していて出現種の同定が困難であること、希少種班では3月にまだ出現していない種が多く、調査しても見つかりにくいなどの問題かあったため、季節を変えてやってみることとなりました。
 この日は20人のメンバ一が移植苗生長調査班、希少種調査班、コドラ一ト調査班の3つに分かれて調査しました。午前中の作業で軌道に乗り始めたのですが、昼食頃から降り始め、午後の調査は次週に延期ということになりました。6/10と6/17日の2日間にわたった調査の結果を報告します。


2007年度希少種調査班 報告(易 寿史)


◆「えっ、あれは!」と、眼前の純白に光るユリを見て思わず息をのんだ。急ぎ近寄って葉を確認すると、確かにササユリだった。信じられない!こんな大きな花がここで咲いているなどとは。
◆先週、6月10日にこの地を調査しかかったものの、雨のため中途で終わっていたし、新たな発見もなかった。今日はその挽回のために、早々と9時に集まり、調査にかかった。湧き水そばのショウジョウバカマを追認し、唯一残っていると思われた谷筋のササユリをやはり追認する。痩せて小さく、存続に不安を覚えるくらいのひ弱な株だった。続いて歩いた開放空間のある平地で高妻さんがキンランやコクラン、シュンラン、はてはササユリまで立て続けに8株を新たに見つけ、随分と活気づく。だがいずれも痩せて小さかったのは、そもそも地味が悪いからなのか。
◆見つけた希少種を白地図に落とすに、地面に埋められた標識番号を頼りに、地図に記載の番号と照合しつつ位置を決めるのだが、これが一筋縄ではいかない。苦労し、うろうろさまよっている中で、幸運なことにこの日3株目、4株目の大きく育ったササユリに巡り会ったのだ。丈高く、茎太く、葉も濃く厚い。しかも1株の頂には開いて未だ間のない純白の大輪の花が1輪、ややうつむき加減に、他に誰も居ない孤独を一心に耐えているかのように咲いていた。止々呂美に続く陽当たり良い小径で出会った淡桃色のササユリや、昼なお暗い社の森で密かに花開いていた大振りの株にも劣らず、実に瑞々しい花だった。
◆季節を変え、場所を選ばず探索すると、この地にはまだ新たな株や、もしかすると新たな種まで見つかるかも知れないとの期待を抱かせた1日だった。
         (北緑丘 易 寿史)
参加者
《6月10日》勝田、河原、岸田興、高妻、柴田、易寿
《6月17日》高妻、柴田、易寿
見つかった希少種
シュンラン2、キンラン4、コクラン2、ショウヨウバカマ5、ササユリ4
2007年度コドラート調査班報告   社 ひとみ

コドラート調査班

2004年度からコドラート調査の場所を新たに設け、例年3月の活動日に調査を続けてきたが、課題は不明落葉樹の同定だった。具体的な対策として、調査月を変えることになり、今年度から6月活動日をあてることにした。
 結果は表をご覧の通り、際立って数えることができたのがヌルデ、ナンキンハゼ、コナラだった。ただし、これらは幼木も多く数えたらきりがないほどで、高さの基準を決めてそれ以上の木を数えたほうがいいのではという案がでた。調査の目的をどこに置くかということも踏まえて、検討の必要があるようだ。
 里山ボランティアの方々もこの班に加わってもらったことで、木に関する特徴の説明を聞きながら作業が進んだ。初心に帰って確認できたことはとても勉強になった。
  島熊山樹木調査(コドラート)集計 前年度比較  
  調査日2007.06.10、17(上段)
   2007.03.11(下段)
  ABC DE
123 4 5 12345123451234512345
ヌルデ7871023 1232325   31  33 1774
42       1      1         
クスノキ762 43321 634 2325561349323
89425255 352253 356 41092  7
マ ツ693521 883433773424      2 
52 213 111316 251  52  11    
ナンキンハゼ561110 2231  3441  223     8 
0                         
ヒサカキ523 6116982    1722 1   3  
40592  28 2211132          
アカメガシワ492 211453 1 374223  62  1 
2524   335 2     2   4     
ネズミモチ22    3  1  1   413   3 24 
22       3 5 1  121    333 
ヤブニッケイ20     2221 32 1  131 11   
8     1 2   3   1 1       
サルトリイバラ201  6  1 1    22  311 2   
4   2           1   1     
コナラ15 11     1  1 2  112   23 
0                         
クロガネモチ142   1 311   11 12    1   
73     4      1 1   11    
シャシャンボ7    4              11 1  
2    2                    
アケビ7      1    2    2  2     
1          1              
ウルシのなかま71  1   3 1              1
0                         
ナンテン5    2  2 1               
5  1    1 1   1      1    
シャリンバイ2                    11   
5   12          1   1     
その他、ヤツデ、ヒラドツツジ、クチナシ、カキ、サンショウ、フジなど
  6月10日は午後から雨のため作業中断、17日続きの作業をする
    記録 土田泰子・社 ひとみ
(6/10 石井、景山、田村、土田夫妻、土井、浜口、横山、社 )
(6/17 田村、土田夫妻、土井、浜口、横山 )
2007年度移植苗調査班査班報告  田方 洋

No樹種04年05年06年07年
3月
07年
6月
1アベマキ20--4045
2アベマキ40---29
3 25----
4アベマキ30--3440
5アベマキ---1642
6ヒサカキ12---22
7コナラ10-182225
8コナラ20-353636
9コナラ1619141912
10 16236412819
11クス1726306064
12コナラ1718213022
13コナラ1011132329
14コナラ1317112017
15コナラ1832394217
16コナラ1215394217
17アカメガシワ2539609393
18ヒサカキ1415241822
19コナラ1113131314
20 14-2218-
21コナラ1013141930
22ムク3048586765
23コナラ1525365620
24クス22-292970
25アカマツ3470120150185
26ハゼ48103128210230
27ムク23-447172
28クス2024262670
29アカメガシワ12-688490
30 213024--
31 14----
32アカマツ820173952
33アカメガシワ612203440
34ムク1730394045
35ムク3797122140160
36コナラ30---18
37 12   
38クロガネモチ59959817267
39コナラ324810715135
40コナラ459013613060
41 41668294-
42コナラ4410211416540
43 3773101106-
44ムク2843758585
45アカマツ29679010578
46コナラ3238495047
47 14222837-
48 13----
49コナラ2114404025
50アベマキ1813313328
51コナラ1033172027
52アベマキ713405578
53コナラ236199142160
 移植苗生長調査班

(調査者・・・井谷、易信、Dr岸田、田方、土田明、本條治)
 朝の天気予報では「午後からは雨の確率60%」の中で森の手入れは始まる。でも、久しぶりの仲間に会い、気分は浮き浮き、雨空なんて飛んで行く感じ。
 ラジオ体操の後、私の班は移植苗生長調査となる。そんな難しいことなんて、と思いましたが、ただ前に植えた苗の生長調査でした。「なんだ、簡単だ」と思いましたが、いろいろな植物が茂っていてなかなか植えた木は見つからないし、蚊は久しぶりの生き血を待ち構えて団体で攻撃してくるし、楽ではなかった。
 人間も大変だけど、植物も成長しているのもあるし土に還っているのもありました。先輩の話では、以前(暗い竹林が長く続いた後)竹間伐を始めた頃には、生えている植物(木)は少なく、はげ山に近かった、と言っていました。これからは今以上に仲間と力を合わせて、この山を里山へ再生して行けたらいいなと思いました。
 昼からは雨も降りだし足元も悪くなったので解散。皆さん、お疲れさんでした。
    (城山町 田方洋)

◆2日間にわたる調査の結果は右表です。葉が確認できたので樹穣も判りました。空欄になっている所は見当たらなかったり枯れてしまっていたものです。折れて高さが低くなっているものもありました。
2006年度希少種調査班 報告(易 寿史)


 今年の計画変更 4年目で4回目の今年、午後からの飛び入りで柴田さんの参加を得て、岸田興、易寿と合わせて昨年同様3人の班編成となった。本来ならば古池を含む少年文化館奧、今では「島熊山緑地」となった深い林までを調査して、今年で全行程を一通り終えるはずだったのだが、実は昨年、三井マンション南斜面一帯の調査が、時間的制約から駆け足になり過ぎていたのが心残りだったのと、その中に作られた新散策路を地図に落としておきたいとの思いがあって、少し後戻りになるのを承知で三井マンション東端=今もかろうじて池田市街と五月山を眺望できる地点=標識36番から調査を始めた。
 作業現場にて コバノミツバツツジが小群となり花をつけ、コナラなど落葉樹の多い東側散策路と違って、ここはアカマツやヤマモモ、ヒサカキなど常緑樹が多く、昼でもやや薄暗い。林床には分解の遅い落葉が厚く積もる。見る限り、希少種発見に多くを期待できそうにない。昨年奈倉さんが残してくれた白い杭を頼りに、曲がりくねった散策路を四苦八苦しつつ地図に描き込んでいると、柴田さんの明るい声が大きく呼びかけてくる。急ぎ駆けつけると、どうやって見つけたのか、シュンランの傍らでにっこり微笑んでいるではないか。先程までその姿も知らず、口頭での説明を聞いただけなのにこの成果だ。それも1株だけではない。2時間ほどの間に4地点で4株を新たに発見したのだ。
 結局この日は三井マンション南斜面一帯の調査を終えたのみで、柴田さんによるシュンラン4株が唯一の発見となった。
 次期機会へ向けて 3月に見つかる可能性のある希少種は、昨年列記した19種の内でシュンラン、ウラジロ、マメヅタの3種しかなく、残りは本体が地上に姿を現す4月中旬以降から秋口まで待たなければならない。そうとすれば、より完成度の高い分布図を作るためには調査時期として4月、7月、10月と年3回の設定が望ましい。しかも1回の調査で全域を一挙にやり終えるべきで、それには少なくとも1回あたり2〜3人の人員で3日間は必要かと思われる。
 当面、次期設定の6月調査を周到な計画と十分な準備とによって、今までになく素早く作業を進めて、残る「島熊山緑地」までを調査完了する計画で臨みたい。
                  担当:岸田興、柴田、易寿    記録:易寿)
2006年度コドラート調査班報告   社 ひとみ

島熊山樹木調査(コドラート)集計 3年分を比較 調査日   2007.03.11(上段)
    2006.03.21(中段)
    2005.03.13(下段)
         A B C D E
      123 4 5 12345123451234512345
クスノキ89425255 352253 356 41092  7
87424551 15233334583411105466
86413 3 4 162131 43572294103 5
ネズミモチ 22       3 5 1  121    333 
40    3  211 2  4731  547  
52    81 546 1  453   546  
ヒサカキ40 592  28 2211132          
3943311271 2   2323    22  1
33623 1 413 1 134    111  1
ヤブニッケイ8     1 2   3   1 1       
18     1331 122  112   1   
231    2342 133  1 2   1   
クロガネモチ73     4      1 1   11    
1131 2       1   2   1 1   
154 1 1 4      11 1   1 1   
タ  ケ                          
3                 11    1 
12 11  1 1    12   11    21
アカメガシワ 2524   335 2     2   4     
1831   222   12  3     1  1
9      1    1   3   111  1
マ ツ 52  13 111316 251  52  11    
30541  73  1211 23         
712   21        1         
ウルシのなかま                          
6     1            111 1 1
61          1      1  11 1
コナラ                          
41 1     1 1              
54      1                 
シャシャンボ2    2                    
5    3            1 1     
2       1           1     
 その他  ヤツデ、シャリンバイ、ヒラドツヅジ、ヌルデ、ウルシ
 3月に調査するのは今年度が最後。次年度からは6月に実施予定。
2006年度移植苗調査班査班報告井谷 弘冶

No04年05年06年07年
120--40
240---
325---
430--34
5---16
612---
710-1822
820-3536
916191419
10162364128
1117263060
1217182130
1310111323
1413171120
1518323942
1612153942
1725396093
1814152433
1911131313
2014-2218
2110131419
2230485867
2315253656
2422-2929
253470120150
2648103128210
2723-4471
2820242626
29123024-
30213024-
3114---
328201739
336122034
3417303940
353797122140
3630---
3712  
38599598172
393248107151
404590136130
4141668294
4244102114165
433773101106
4428437585
45296790105
4632384950
4714222837
4813---
4921144040
5018133133
5110331720
3月11日(日)、冬に逆戻りしたような寒い中、移植苗調査班は昨年に引き競き、生長記録を採った。

調査対象は

@02年秋にコナラのドングリを蒔き、03年3月に芽 生えた苗を15〜20本位ずつ束にして6ケ所に移植(A〜F地点)した生長記録

A03年3月に林内に自然に実生で生えたコナラやアベマキ(一部はクス、アカメガシワ)の宙約50本(番号1〜54)の生長記録について、引き続き調査した。
 何カ所か消滅したり折れたりしている箇所もあった。

クスは10cm程度、アカメガシワは30〜7cm程度生長していたが、コナラは3cm程度の生長にとどまった。

 目印のビニールテープに地点を示す番号が薄くなった箇所は書き直しつつ行った。クス、アカメガシワの生長は顕著であったが、コナラやアベマキの生長は遅く、周囲に戻ってきたクス、ヒサカキ、メリケンカルカヤ、ネザサ等に覆われ、日照がさえぎられている箇所が多かったので、午後からメリケンカルカヤ、ネザサを刈り取り、木は枝を払ってコナラやアベマキに日が当たるようにした。(担当:易信子、田中芳雄、土田明、井谷弘治)
                (井谷弘治 記)

左表について…単位はcm、−の記号は見当たらなくて測定できなかった印、表作成の都合上1〜51のみ記載
 雨で中止となった12日の遅れを取り戻すべく、3月19日、コドラート、移植苗、希少種の各班で、少人数ではあったが、それぞれの調査を実施しました。以下にその模様をお伝えします。

2005年度希少種調査班 報告(易 寿史)

[現状]
早春の陽を受けるショウジョウバカマ(上)
と蕾を付けるシュンラン
 一昨年から始めた「島熊山の希少種」調査も、今年で3年目を迎えた。何しろ年1回だけ、それも実働4時間ほどの限られた時間内に、2〜3人の人数で、広い山中を希少種を求めて歩きつつ、運良く見つけたら白地図上の場所を何とか特定して印をつけていくという手作業のため、なかなか思うようにははかどっていないのが現状だ。
 1年目に3人で、まず新御堂筋そばから始めて伐採中の竹林まで進み、昨年は2人だけで、豊島高校東の林から神戸層群を少し西に入ったあたりまでを終えていた。今年はさらに西進して軽費老人ホームから豊中不動尊バス停まで進めればよいとの予定だった。奈倉さんが加わり3人で動いて、ごくおおざっぱではあるが、三井マンション西はずれの南道路へ下る小径までをひとまず終えた。来年は残る少年文化館下、古池の周りを実施して、一通りの調査を完了したい。
[今回の調査での成果と限界 今後の方向性]
標柱の背に49の番号が見える
 調査の最中に奈倉さんに教わったことがある。手持ちの白地図の稜線上に52や44と書かれている二桁の数字が、なんと足元に点々と並ぶコンクリート製の標識の番号と対応しているというのだ。頭を赤く塗った新しい標識にも、色無しの少し古そうな標識にも、側面に確かに数字を刻印した金属板が取りつけられている。そこに上下2段に分けて、上側にはどれもK2−2と打たれ、下側に二桁の52や44の数字が打たれている。これを基点にすると、地図上での位置の特定が格段に早く正確になった。これまで小径の曲がり具合や等高線の緩急、眼下に見下ろす交差点などからさんざん苦労して推定していたのが一気に解決されることとなった。これは大いなる収穫だった。
 昨年同様、今年もまた失敗を重ねたことがある。調査時期が早すぎたことだ。この時期、キンランやワレモコウ、オケラなど数種の芽は未だ地下深くにまどろんでいる。地上部に姿を見せるのは4月を待たねばならないのではないか。さらに遅れて、ナンバンギセルなど、秋にならねば存在を現さないものもある。従って、今後の方向として、調査は年2回必要で、時期は4月後半と9月後半実施を検討していきたい。
 また、以後、この調査資料に基づいて定期的に盛衰を見守りつつ、移植や採種・種蒔きなど必要な手を随時打っていくつもりだ。
次に現在調査中の「島熊山の希少種」を独断と偏見で右に列記しておこう。
[調査者]岸田興次、奈倉 武、易 寿史

1.シュンラン
2.キンラン
3.ギンラン
4.コクラン
5.トンボソウ
6.ショウジョウバカマ
7.ノギラン
8.ササユリ
9.ワレモコウ
10.アキノキリンソウ
11.ヌスビトハギ
12.オケラ
13.オカトラノオ
14.ナンバンギセル
15.ギンリョウソウ
16.ウラジロ
17.マメヅタ

2005年度コドラート調査班報告   浜口・土田・炭谷・社

 雨で1週間延期になった年度末恒例のコドラート調査。エリアを、わかりやすく、傾斜のなだらかなこの地に決めて2年目。周辺も整備されてより調査しやすくなった。
 用具の準備も万全、すぐに作業にとりかかれるはずが・・・区画の外枠のロープが切れて、なくなっている。まずは、それを張るところから始まった。次に、1m間隔で印をつけた基準となるロープを張ったところで、場所によっては、たるんだり、張りすぎていたり・・・作業ひとつひとつは単純なことなのだが、とにかく1年ぶりのこと。毎年、作業に携わっているのに、感覚をとりもどすためには少々時間がかかる。今回初めて参加された里山もボランティアの炭谷 昇さんからみると随分とドンくさいことしていると感じられたことだろう。
 さて、準備が整い、作業開始。調査そのものは、エリア中の木の種類と本数調べなのだから、以前のように位置を記入しないぶん、とても簡単になった。「クスノキの幼木1、2、3、4・・・4本!」土田さんの声が響く。それをシートに記入する。浜口さんと炭谷さんが、先々とロープ貼りをしてくださって、とても効率よく流れていった。お昼前には、10m四方の全区画調査終了して撤収作業まで片付いた。
               (緑丘 社 ひとみ)
E
D
C
B
A
     
12345
     
     
     
 10m四方のコドラート1区画を更に2mの調査区分に細分
 セクションごとに生えていた植物の本数を種類ごとに記載。

島熊山樹木調査(コドラート)集計 前年度比較
             調査日 2006.03.21(上段)
                 2005.03.13(下段)
   計 A B C D E
 1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5
クスノキ 110  4 2 4 5 5  1  1 5 2  3 3 3 3 4  5 8 3 4 11  10 5 4 6 6
 86  4 1 3 3 3  4  1 6 2  1 3 1 4 3  5 7 2 2 9  4 10 3  5
ネズミモチ  40      3    2 1 1   2   4  7 3 1    5 4 7  
 52      8  1  5 4 6   1   4  5 3     5 4 6  
ヒサカキ  39  4 3 3 1 1  2 7 1 2     2 3 2  3      2 2   1
 33  6 2 3  1   4 1 3   1  1 3 4      1  1 1   1
ヤブニッケイ  18        1 3 3 1   1 2 2    1 1 2     1   
 23  1      2 3 4 2   1 3 3    1  2     1   
クロガネモチ  11  3 1  2          1     2    1   1   
 15  4  1  1   4        1 1   1   1      1
タケ  3                      1 1      1 
 12   1 1    1  1      1 2     1 1     2 1 
アカメガシワ  18  3 1     2 2 2    1 2     3       1   1
 9         1      1     3    1  1 1   1
マツ  30  5 4 1    7 3   1  2 1 1  2  3          
 7  1 2     2 1           1          
ウルシのなかま  6        1              1 1   1  1  1
 6  1             1        1   1 1  1 
コナラ  4  1  1       1  1                 
 5  4        1                    
シャシャンボ  1                        1      
 2                1        1      
シャリンバイ  5      3               1  1       
 2         1               1      
アオキ  1     1                         
 1     1                         
アラカシ  1            1                  
 1            1                  
ナンテン  6  4    2    1                  1  
 1         1                     
モチノキ  2            1     1             
 1            1                  
不明常緑樹                                
 7    2 2      1           2        
不明落葉樹   多 2     1      1      1 2  1   1 1 1  
多          1          1  1       

   計  A  B  C  D  E
 1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5  1 2 3 4 5
アベマキ  3  1                         2   
クチナシ  3           1       1         1   
サルトリイバラ  4     2               1    1      
スイカズラ  1           1                   
ソヨゴ   3              1         1 1      
ヌルデ  4  2         1         1          
ヒイラギナンテン  1                           1   
ミツバアケビ  1              1                

2005年度移 植 苗 調 査 班 報 告

 3月19日(日)、第2日曜日が雨だったので1週間延期しての実施となった。移植苗調査班は、2002年秋にコナラのドングリを蒔き、2003年3月に密植して芽生えた苗を15〜20本ぐらいずつ束にしてA〜F地点の6ヶ所に移植したのを、昨年に引き続き生長の記録を確認することと、同じく2003年3月に林床内に自然に実生で生えたコナラ(一部はクス、アカメガシワ)の苗約50本(番号1〜54)も昨年に引き続いて生長の度合いを調査をした。
 移植苗については、A〜Fの地点のうち、B地点が見つからなかったが、他の地点では3〜7cmの生長が確認された。
 実生で生えたコナラなどは、昨年確認できた地点をたどりつつ、新たにビニールテープを巻き、薄くなった番号も書き直しつつ、おこなった。また、目立たなくなった個所では、杭も新たに補強したりもし、来年の調査に支障をきたさないようにした。枯れたマツを伐採した個所で、なくなった地点もあった。また、林床整備のため、積み上げたタケの下敷きになっている個所もあった。
 昨年は、調査対象の移植苗、コナラ等に肥料を施したが、効果のほどは定かではなかった。
 作業担当:易信子、土田明、井谷弘治(井谷記)

2003年島熊山移植苗 成長記録(cm) 一部紹介
 No.  04.3.14  05.3.13  06.3.18  備考 
 :     
 10  16  23  64  アカメガシワ 
 11  17  26  30  クス 

2004年度移 植 苗 調 査 班 報 告 (川西市  井谷弘治)
移植苗調査班(易信子、田中、井谷)


 3月13日(日)午前10時、本日の森の調査は参加者が少なく、急遽各班の編成を変更した。移植苗調査班は、02年秋にぎっしりとドングリを蒔いたコナラの苗を03年3月に20本ぐらいずつ束にして6ヶ所に移植した箇所を、昨年に引き続き成長の記録を確認することと、03年3月に林床内に自然に実生で生えたコナラの苗約50本に印を付けて、これについても昨年の記録に基づいて、今回追跡調査をした。
 移植苗については、A〜Fの6ヶ所を地図を参照しつつ探しだし、メジャーで高さを測り、昨年度の記録の横に記入した。すべての地点で3〜7cmの生長が確認された。ただD地点だけは積み上げられたタケの下敷きになったのかどうしても見つからなかった。  実生で生えたコナラ調査については、昨年確認できた地点をたどりつつ、行ったが、目印のビニールテープが剥がれて番号が不明になった個所が少なからずあったが、隣接地点との位置関係で何カ所かは番号を振った。不鮮明になった数字を書き換えたり、杭を新たに補強したりもし、来年の調査に支障をきたさないようにもした。林床整備のために積み上げたタケなどの下になったのか、あるいは昨年の筍掘りの被害にあったのか、どうしても見つからなかった地点も数カ所あった。今後林床整備の際には、調査対象のコナラに十分気をつけてほしいし、林床整備の際にいたんだ杭等があったら修理をしてほしい。
 林床全体の復元を記録するため、定点(A、B、C)での写真撮影も行った。
 なお今回、調査対象の移植苗、実生で生えたコナラのすべてに、根元に有機肥料を施した。この1年大きく伸びればよいのだが…
                     (川西市  井谷弘治)
移植したドングリ苗(A〜Fの6箇所)と実生の苗(53箇所)の成長を調べて記録する。広い林内を探すのが大変。

2004年度コドラート調査報告 (東豊中町 浜口弘幸)
コドラート調査斑(土田、社、横山、浜口)
 コドラート調査を始めてから今年で7年目になる。この6年間は、道路側から尾根筋にかけて10m×10mコドラート4区画設定し、その中の成木ついて調査した。調査結果は『雑木林通信』で報告してきた。しかし、この区画は急斜面があったり、伐採した竹残材があったりして調査しにくかった。また、区画内の植物の遷移を見るには余りにも込み入り過ぎていた。そこで、今年は従来の方法に一区切りつけて、別の方法を考えようということになった。10m×10mコドラート1区画だけにして、植物は大きいもの、小さいものを問わずすべてを調査票に記録することにした。こうすれば、採光効果や落葉・落枝の除去効果などを経時的に観察していくことができる。
 まずは、調査の適地を探すことから始めた。竹林は急斜面があったり、くぼみがあったりあるいは階段状になっていたりして、適地はなかなか見つかりにくい。4人であちこち探して、私たち仲間で「奥の院」と称している溜池跡の手前に適地を見つけた。斜面になってはいるが、区画内の数年前に伐採した竹残材を除去してなんとか10m×10mのコドラート1区画取れた。
2×2mの方形枠。この中の植生を調べる
 コドラート内の実生、幼木、成木など1本1本徹底的に精査し、調査票に記録していった。2人でロープを張りながら2m×2mの調査区画を設定し、2人が調査していく。非常に息の合った能率的な作業であった。作業終了後、コドラートの四隅に竹の棒を立てて、区画を明確化した。今後は、経時的にその生長ぶりを観察し記録していく。例えば、年3回程度生長を調査すればどうだろう。こうすることで、植物の経時的な遷移が見て取れる。
 コドラート内の竹の伐採残材と落葉・落枝を除去したので、十年あるいは数十年にわたって落ち葉の下にうずもれてじっと我慢していた種子が発芽してくるだろう。島熊山の雑木林の再生と同時に、植物の多様性も期待できる。これからが楽しみである。
                      (東豊中町 浜口弘幸)
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